
海外になんか行きたくなくて、会社の命令で渋々赴任した人にとっては、帰任命令は待ちに待った機会に違いない。しかしながら、僕のように海外で暮らしたいと考えていた人間にとっては帰任命令は悪魔の手紙、できればなかったことにしてほしい事柄である。
昭和の子供としては、欧米の影響を受けまくって育ち、いつかは海外に行きたいと考えていた。就職の時は、具体的に意識したわけではないが、漠然と海外に行けるかもということでグローバル企業のメーカーを選んだ。そして、その憧れを、海外駐在という会社の制度を利用して実現した。
仕事的にも、最初は慣れない環境、慣れない言葉で苦労するが、2〜3年くらいで特に不自由なく仕事もこなせるようになる。海外駐在員という立場はポジションそのものが現地の従業員よりも強い立場にある。なぜなら、自分たちが現地での雇用を作っているわけであるから。給料は、海外勤務手当が出て、手取り保証、住宅は社宅扱い。生活も刺激的で、日本からだと大枚叩いてくるような海外旅行も、国内旅行だったり、短距離の海外旅行で憧れていた地に行ける。
こうして、海外生活を謳歌し、仕事の自信もでき、いつまでもこの地で暮らしていけると考え出す頃に帰任時期がやってくる。大抵の会社は駐在期間を原則3年とか5年とか決めており、特段の事情がある場合は延長することができるというのが一般的なルールであるが、この「特段の事情」というのがなかなか厄介で、自分としては自分がこの地にいて、重要な職責を果たしていることで、いかに会社にとって利益をもたらしているかを主張するのであるが、なかなかそれが「特段の事情」であることを会社に認めさせるのは難しい。
人事側としては、ローテーションをきっちりと守り、そうやって海外で活躍した経験を生かして、本社に戻ってますます会社が利益を上げられるように活躍してほしいと、お互いほとんどロジックも何もない意見を戦わせ、結局は帰任辞令という紙切れの前にひれ伏すことになる。
昔は海外駐在10年とか15年とか、海外進出のオペレーションを最初から立ち上げて、もう地域の名士になっているような大先輩がたくさんいたように思うが、世の中のトレンドとしては、なるべくオペレーションは現地化して、立ち上げのプロジェクトが完了したら日本人駐在員は引き上げるということが多くなっているのではないだろうか。

さて、望むと望まざるとにかかわらず、日本に帰らなければならないという現実を突きつけられた時にどうするか。ほとんどの場合は帰任という道を選ぶのだろう。何と言ってもそれが最もリスクが少ない選択だからである。強い者、賢い者が生き残るのではない。変化できる者が生き残るのだ、というダーウィンの名言を持ち出すまでもなく、帰任して与えられた新しい立場で、海外の経験も生かしつつ、新たな事業を立ち上げて行くというのが望まれる社会人の姿なのであろう。
しかしながら、変化を望まない者も居る。せっかく手に入れた海外生活を手放したくない。日本に帰りたくないと考えた場合にどうするか。現地に残って、転職するという可能性を検討すべきである。これには非常に強い意志とある程度の時間が必要である。誰かに相談しようとも、大多数の意見は日本に帰れ、であろう。もちろん会社の人に相談はできない。自分一人である。
こんな時に、我々「イギリスで働く」のサービスを活用してほしい。我々はリクルートエージェントではなく、求職者であるあなたの理解者であり、サポーターである。数あるリクルートエージェントも活用しながら、具体的に何をどうしたらいいのかのガイダンスを与えてリードする。もちろん最終的に希望する職を得られるかどうかは、あなたの意志と実力次第だが、あなたの能力をゴールに向けて最適化し、最強化していくことはできる。
帰任で悩んだら、ぜひご相談ください。