「イギリスで働く」について
大学院を出て普通に日本の大企業にエンジニアとして就職し、いつでも辞められるさと愚痴や文句を言いながら、楽で安穏な社畜生活に埋没し、気がついて見れば、定年まで働いて円満定年退職ということになった。
海外への興味は子供の頃からあって、英米のポップスを聴いたり、テレビドラマを見たり、漠然と将来は海外に行ってみたいとは考えていたが、会社に入って海外留学制度という会社派遣で留学できる機会があることを知り、それに応募。結局、その留学に始まってロンドンに2回、フランスに1回の海外駐在を経験した。
さて、定年後何をするかというところに来て、一つのオプションとして、定年後再雇用というのがあった。ところが、これは給料が半分どころか、3分の1程度になってしまうという。住宅ローンも残っているし、子供もまだ学生である。実は、2度目のロンドン駐在の時に教育の関係で妻子はロンドンに残り、単身で帰任をした。逆単身赴任とも言う。家族はロンドンに居るし、まだまだお金はかかるから定年後再雇用は現実的ではなかった。家族から早く「ロンドンへ戻れ」のラブコールもある。
そこで、僕のイギリスでの転職の物語がスタートするわけである。決して、定年後は気候も良く、物価の安い国に行って、少し仕事もしながら悠々自適の生活を送りましょうというお話ではない。

イギリスでは、年齢、性別、国籍などによる差別は法律で禁じられている。したがって、定年はない。自分で働いていたい・働ける間はいつまでも続けられる。これが極めて心地よい。給料は職務記述書ベースだから、年取って給料が下がるということはないと同時に、年上だから給料が高いということもない。給料泥棒は原則解雇される。これがイギリスで働く最も大きなメリットであり、日本の会社で定年が近づくにしたがって感じていた問題点をすべて解決できる。
僕は日本にいながらにしてイギリスで働くための就職活動を行い、様々な試行錯誤・紆余曲折の末、日本の会社の定年の時期にイギリスでの仕事を始めることができた。しかしそれで終わりではなく、さらに諸々の理由があって、3回転職した。現在の会社はすでに2年半以上勤めており、これが最後のサラリーマンかなと思い始めているところである。
ところで、イギリスでやっていることはサラリーマンだけではない。小さなリサーチ会社を起業・運営している。これは定年よりずっと前、家族で赴任していた時、帰任命令が下って、単身で帰任しなければならなかった時にイギリスでの足場にしようという思いがあって立ち上げた。ほとんど手間もお金もかからず、Amazonで買い物するのとほとんど同じ感覚で会社が立ち上がった。これで僕も起業家だ(笑)。この会社は、技術調査や市場調査のお仕事を請け負って活動中である。調べて欲しいことがあれば、こちらへ:https://fresearchlondon.com/

ここまで、仕事のことしか書いてないが、いったいなぜ僕はイギリスくんだりまで来て生活しているのか?それは、ポップ/ロック音楽はこちらがオリジナルであるということである。コロナ以前は、月1回程度、ロンドンのライブハウスやコンサートホールに行って、往年のミュージシャンやレベルの高いトリビュートバンドなどを観て楽しんでいた。現在、Covid-19のパンデミックはまだ続いていて、ロックダウンは解除され”With Corona”の道を模索中であるものの、まだ昔のような日々は戻っていない。また心配なくライブに行ける日々が戻ってくるのを心待ちにしており、少し余裕ができたら、こちらの話題も取り上げていきたい。
このWebサイト「イギリスで働く」を立ち上げたのは、僕の経験したことが必ず誰かの役に立つと確信しているからである。僕は手探りでいろいろなことをやって来て今があるわけだが、今にして思えば、例えば帰任命令が出た時、誰かのアドバイスを受けて、転職活動をしていれば単身帰任という悲しい結果とは違うものになっていたかもしれない。
起業家(笑)としては、イギリスで働く – 就職・転職・起業コンサルタントは一つの新規事業ということになるが、ぜひ僕の経験をあなたの将来に役立ててほしいと思う。